どうにか最終週まで死へのカウントダウンを延ばした新次郎さん。
でも確実に弱ってきているし、物語の随所に見せる死への覚悟・・・。
もう全てを受け入れた上で、思っているのは「あさには笑っていて欲しい」それだけのように見えます。
「好きな人には笑っていて欲しい」
これは惣兵衛さんも同じ想いでした。
先週後半の二人の想いから見てみましょう。
惣兵衛の死とその想い
藍之助が呼び戻されたのは、胸の病でもう惣兵衛が長くないと医者に言われたからでした。
一生懸命看病するはつに惣兵衛は言います。
「笑うてくれ」と。
はつは惣兵衛を元気づけたいから笑いたいのに、どうしても笑えません。
そんなはつに「初めて弱みを見せてくれましたな」と笑う惣兵衛。
そして家族を集めてこう言います。
「ええ人生やった」
そして、はつの箏(こと)を病床で聴きながら、明け方息を引き取ります。
その後、惣兵衛の死の知らせの電報を、あさと新次郎は受け取ります。
このとき、カメラワークはあさより新次郎の表情を捉えています。
ここでも新次郎の死亡フラグをチラつかせています。
はつの元へ赴いたあさと新次郎。
あさは新次郎から聞いた話をはつに語ります。
それは先日新次郎が訪れたときに惣兵衛と二人で楽しそうに話しているのを見て、はつが「何の話をしてるんやろな?」と独り言を呟いていたときの話です。
あさは惣兵衛に初めて会ったときのことを覚えているかと、はつに尋ねました。
はつは、もちろん覚えている、そして「あの時はまさか自分がこないな想いになるやて、思いもせんかった」と答えます。
あさは新次郎に聞いた話を語ります。
実は惣兵衛はあの時はつに一目惚れだったと。
そして、
「あの頃は笑うことも笑わせることもできなかった。今はすぐ笑ってくれる」と嬉しそうに言っていたこと。
それに対して新次郎が「これはえらいノロケ聞いてしまいましたわ」と言って笑い合ったこと、そんな話をあさは、はつに語りました。
あさ:「おねえちゃんが笑ろてそばにいてくれさえしたら、もうなんもいらんのやて」
涙するはつ。そして、・・・
はつ:「笑ろて生きなあかんなあ・・・せやけど悲しいなあ。寂しいなあ・・・」
はつはこれから辛くても無理に笑って生きるんだろうと思います。
惣兵衛のためにそうします。
でも惣兵衛は、はつに辛い笑いで無理させるための遺言をしたのではありませんでした。
好きな人には笑って欲しい。
ただ、それだけだったんだと思います。
そして笑顔でいれば、そのうち本当の笑顔になっていくことを知ってました。
生きている時間は笑顔が多いほうがいい。
自分の晩年は笑顔に包まれて幸せだったから・・・
はつが幸せに笑顔で生きていけるように、「笑ってくれ」と言って惣兵衛は死んでいきました。
そんな惣兵衛を悼み、盃を手向けるように新次郎は空に向かって言います。
「惣兵衛さん、そっちはどないだす?」
まるで、もうじき自分もそこに行きますよ、と伝えるかのように・・・。
新次郎『死』と折り合いをつける?
惣兵衛が亡くなったことで、さらに新次郎さんは死への準備をしていっているように私には見えました。
特に女子大の成澤先生との会話で、ついに悟りに入ったようにさえ感じてしまいました。
その描写が次のようなものです。
加野屋を訪ねて来た成澤先生に新次郎は言いました。
「この頃近しい者がどんどん、いてへんようになってしもて、自分の歳を考えたら当たり前のことだすけどな」
以前同じセリフを新次郎の母よのも言っています。
最近、晩年の母の心情も思いやる日が多いのかもしれません。
それに対して成澤は、自分はこう思う、と伝えます。
「生と死というものは、あまり違いはない。生があるから死があり、死があるから生がある。この二つは常に一つのリズムとして、我々の日常を流れています。そしてこの体はただの衣服であり本当の体はもっと奥にある。そしてそれは永久に滅びません」
新次郎は成澤の話を聞き入り、そして何かを得たような表情になります。
私は、このときから新次郎さんが、本当に死を受け入れてしまったと思います。
いつかは確実に来る未来、そしてそれは遠くない未来。
それまでをこの体で「生きる」という選択をしたのだと思います。
そしてそれは、あさに笑顔でいてもらうために。
「好きな人には笑っていて欲しい」
だからそう「生きる」決心をしたのだと思います。
まとめ
この回が金曜日で、新次郎さんの死亡フラグは消えないままでした。
問題はいつまで新次郎さんが生きて画面に出演してくれるのか、ハラハラと胸をいためていましたが、玉木宏さんの『あさイチ』プレミアムトーク出演で、最終週までは出演すると確信しました。
該当記事⇒あさイチ【プレミアムトーク詳細】玉木宏に有働ワナ?放送終了前10秒の攻防戦
しかし惣兵衛さんが亡くなり、「悲しいなあ。寂しいなあ・・・」の気持ちを飲み込んで、笑って生きようとするはつを思うとこちらまで辛くなります。
そして近い将来、あさにも同じことが起こるんだろうと思うと胸が痛くなります。
★関連記事まとめ あさが来た 記事一覧