成澤先生との会話ですっかり自分の死を受け入れたかのような新次郎さん。
そして新次郎さんの様子を訝しむようになった、あさ。
死を受け入れた新次郎さんは、あさの心配をはぐらかすような行動をとっています。
そんな新次郎さんは、第25週【誇り高き人生】の最後の回(土曜日)の途中に、いきなり老けこんだメイクになってしまいました。
千代の出産時ですから1年も経たないうちに急に白髪が増えてしまったことになります。
なんか外見的に死へのカウントダウンを表現してるようで辛い!(泣)
新次郎観念する? あさの願い
千代の出産で命が繋がっていくことに、本当に感動したかのような新次郎。
「ありがたいことやな」
そう言いながら抱いた孫を見つめる新次郎。
そこに『嬉しい時の雨』が降ってきました。
孫が無事に生まれてありがたい。
孫に会えるまで生きることができてありがたい。
こうやって、命が繋がっていくことがありがたい。
新次郎は、全てを受け入れているから感謝しかない毎日を生きているように、私には見えました。
なんだかもう、菩薩様のようです。
そして、初孫の名前を考える新次郎。
そこには何枚も名前を書きつけた紙が広がっています。
そんな新次郎に、遂にあさは向かい合います。
「だんな様、うちと一緒に病院行っとくなはれ。どうか、お願いします」
そう言って両手を付き、頭を深く下げるあさに、新次郎はもうごまかせないと悟ったのか、
「わかった。ほんなら行こか?」
そう言って微笑みました。
その笑顔はちょっと寂しげでした。
これより先は最終週へ入ります。
新次郎の生と死「笑って生きる」ために
新次郎は約束どおり、あさと病院へ行きます。
診てくれた医師大塚(渡辺いっけい)は、新次郎のお茶仲間でした。
検査の結果が分かり次第、お茶の一服を兼ねて、大塚医師は白岡家へ来てくれることになりました。
そんな中、はつと養之助が白岡家を訪ねてきました。
養之助ははつの気を紛らわせるために白岡家へ連れてきたようです。
そして、はつとあさは、しんみりと話します。
はつ:
「まだ『だんな様』て声掛けてしもたりしてしまいますのや。まだちょっとも、いてはらへんことに慣れられへん。おかしいやろ? もう半年も経つのになぁ」
あさ:
「いや、ちょっとも、おかしいとこなんかあらへん。せやけど、いつかそないな日が来てしまいますのやな。どないしても、そないなこと思われしまへんのだすけどなぁ」
いつか『そんな日』が来ることを、遂にあさも考え始めました。
そして大塚医師がやって来ました。
結果は芳しいものではなかったようです。
新次郎はやはり受け入れているようですが、あさは諦めきれません。
帰りの大塚医師を捕まえて取りすがります。
あさ:
「先生お願いします。どないな薬使うてもええ、うちの体切り取ったかて、かましません。どうか・・・どうか、だんな様を・・・」
ですが大塚医師の言葉は、あさにとっては残酷でした。
大塚医師:
「奥さん、なんぼ力を尽くしてもお金があっても、どうにもできないものがあります。それは決められた命。寿命です。もちろん、出来る限りの治療はいたします。ですから落ち着いて、どうか・・・どうか、ええ時間を過ごしてください」
大塚医師もそれ以上は言えなかったのでしょう。
もう、残された時間を『いい時間として過ごす』しか選択肢は残っていなかったのです。
そして、あさは新次郎に提案します。
「富士山の見えるところに別荘を建てよう」
以前、新次郎が夢見た叶わない未来『いつか』を、今度は現実にしようと、あさはしていました。
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でも新次郎さんは、もう、全てを受け入れている人なのです。
「あさ」とたしなめます。
新次郎:
「おおきにな。せやけど、もうええわ。ここに、いてたいわ。ここでな、一家みんなでな」
あさは泣き出してしまいました。
もっと早く気付いていればよかった。
もっと早く叶えてあげればよかった・・・。
きっと色んな後悔に押しつぶされそうになったことでしょう。
新次郎:
「なに泣いてますのや。今はな、昔のわてらには思いもかけへんようなことで死んでしまう人かて、ようけ、いてはります。それに比べたらな、わては奥さんと、こないなこと、できてますのやで。なんも泣くようなことがありますかいな」
そう言って新次郎は、あさの背中をさすります。優しく、優しく、包み込むように。
泣かないで。笑って。
あさ:
「そうだすな。うちが泣いたらあかしまへんわな」
あさは、笑おうとしました。
『好きな人には笑って欲しい』
あさにも、それは分かりました。
でも・・・。
『笑ろて生きなあかんなあ・・・せやけど悲しいなあ。寂しいなあ・・・』
はつの言葉が、本当の意味でわかったのはこの時かもしれません。
あさの止まらない涙に、よしよし、と涙をぬぐう新次郎の姿がそこにありました。
まとめ
今回は週末と週始めの話をまとめてしまいました。
全てを受け入れていることを感じさせる新次郎さんの背中。
いつの間にか小さくなってしまった背中。
そして、もはや自分自身の生死のことよりも、自分の死後の、あさのことを憂う表情。
惣兵衛さんと同じ、
『好きな人には笑っていて欲しい』
どうやったら、あさは笑っていてくれるだろうか?
そういったことを表に出さず考えているような新次郎さんの姿に、もう死亡フラグがどうこうよりも、新次郎さんに最後まで気持ちよく幸せに生きて欲しい、そう思った回でした。
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