ついにBSプレミアムドラマ『奇跡の人』が最終回を迎えてしまいました。

全く・・・予想の斜め上をいってくれましたね。

最終回も、涙、涙でした。

そして幸せな気分で放送が終わると、今度は、テレビ画面のこちら側になんだか自分1人取り残されたような、もう彼らに会えないことにポッカリ何かが空いたような寂しさを感じました。

 

ああ、テレビ画面の向こうで彼らの日常はこうやって続いていくんだなあ。

もう見ることはできないけど・・・と。

 

 

※【追記】

『奇跡の人』を見逃した方に朗報です。

BSプレミアムドラマ『奇跡の人』が再放送されます。

再放送は、2016年 11月1日(火)から、

NHK BSプレミアムで、毎週火曜日 午後5:00~ (全8回)となっています。

(本放送は、2016年4月24日~6月12日 でした)

見逃した方は、今度こそ録画予約スタンバイですよ!

また、有料にはなりますがNHKオンデマンドで視聴という方法もありますよ。

 

BSプレミアムドラマ奇跡の人最終回あらすじ

出展:http://www.nhk.or.jp/
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第7話で一択と花を手話で表した海ちゃんでしたが、完全に理解しているというわけではなかったようです。

「混乱しちゃってるんでしょうかね?まだ。ゆっくりやりましょう」花にそう言う一択でした。

海ちゃんは「扉が開いた」のではなく「扉があるらしい ことが分かった」くらいのようです。

それでもその海ちゃんに、都倉アパートメントの一人ひとりを表す手話を教える一択でした。また、一択は海ちゃんを学校に行かせることを花に提案します。

今度は、花は海ちゃんを学校に行かせることを決心しました。

そこには、一択の影響か、信じる力を取り戻した花の姿がそこにありました。

 

2年が経ちました。

海ちゃんは学校に通ってますが、2年前とあまり変わってないようです。

一択と花は結婚し、フクシくんと佳代ちゃんは結婚の約束をしているそうです。

そんなある日、女の子が連れ去られそうになった事件が起こったと、学校から注意文が配られました。

怪しい人物を見かけ追いかけた一択でしたが、それは事件のニュースを聞いて心配した正志がこっそり様子を伺っていた姿でした。

そこに一人になった海ちゃんを待ちかねたように、怪しい男が海ちゃんを連れ去ろうとしました。一択が追いかけたため男は海ちゃんを置いて逃げ出しましたが、そのまま車で一択を跳ね、逃走しました。

事件の連絡を受けた花が慌てて病院に駆けつけると、その間、海ちゃんを預かり、一択に付きそう正志の姿がそこにありました。幸い一択のケガは大したことなかったようです。

「海、見ててくれたの? 会いたければ、会いに来たって・・・」と言いかける花に「ええねん、俺は。足長おじさんで」と遮る正志でした。正志にとっての「足長おじさん」は、陰からそっと見守り、何かあったときには助ける人なのでしょう。本家「足長おじさん」のように援助するお金は持っていませんが。

「貧乏な足長おじさんもおるんじゃ」そう言いながら、正志は自分の手をさぐる海ちゃんの小さな手をそっと離しました。

相変わらず、二人を捨てた自分には資格が無いと思っているのでしょう。

しかしそっと陰から見守る道を選んだ正志の表情は、以前のように苦しげで切ないものではなく、どこか穏やかでさえありました。

 

一方、一択が入院しているたった1日の間、海ちゃんはずっと指を1本立てて一択を探しているようでした。やっと戻ってきた一択を確認した海ちゃんは、嬉しそうに笑い指を1本立ててみせます。

「すげえな~。何かすげえなあ、海」そう一択が素直に感動しているとき、海ちゃんの中で変化が起こりました。

海ちゃんは、まず近くにいた風子さんの顔を触ると「風」を表す手話の形に腕を動かしました。次に、佳代さん、フクシくん、そして花と一択。それぞれの顔を触り、それぞれを表す手話の動きをしました。

今まで、それぞれの顔を触らせた後にさせられていた動作でしたが、その動作に意味があると海ちゃんが理解した瞬間でした。

海ちゃんの中でそれまでバラバラだったことが、一つの輪になったように繋がったのです。

その瞬間、みんなは奇跡の目撃者になりました。

「海・・・分かったんだ、名前だって。みんなに名前があるって。ドアを開けたんですよ、海ちゃんは! ついに開けたんですよ!」

一択は感極まった様子で喜びました。

それは、一択の「信じる力」が実現した瞬間でもありました。

 

 

その後の海ちゃんの変化はすさまじいものでした。

自分の周りには色んな物があって、一つ一つに名前があることに気付いたのでしょう。

だから全てを知りたがりました。何もかもを、知りたがりました。

海ちゃんの変化はすごいものがありました。

でもドアを開けて、ほんの入口にいるのでしょう。そこには名前があって、その先には意味があることを理解しなければならないのだから・・・。

でもそれは遠い先の話ではありませんね。もうドアの外に歩き出したのですから、彼女は。

 

そう心の中で語った風子さんも、一歩を踏み出す瞬間が来たことを知りました

「よし決めた! 私、しばらく旅に出る。もう準備はできてるの」

そう宣言した風子さんは続けて言いました。

5年か10年か、どこに行くのかも決めていない旅。

海ちゃんを見ていて、まだ自分には知らない世界があることを知った。海ちゃんを見ていたら、何かもっと知りたくなった。色んな事を。

「だから、ちょっくら世界を見てくるよ。私は風の子だからね~」

風子さんは花に管理人を頼むと、本当に風のように軽やかに旅立っていきました。

 

 

海ちゃんは急激に何でも理解できるようになったわけではありません。

それでも、ゆっくりゆっくり、進んでいきます。

それを優しい目で見守る人々がいます。

その人々もまた、海ちゃんに関わることで自分にも別の世界があることを知り変化してゆくのでしょう。

 

そして今、海ちゃんは心から楽しそうに笑います。その気持を表すように、一択に教えられた「楽しい」という手話の動作をします。その「楽しい」の動作と一緒に「海」「花」「一択」も表します。

「花と一択と一緒で楽しい。心から楽しい」

そんな海ちゃんや花と一緒にいることで、一択も心から「生きててよかった」と思い、

「海、最高にロックだぜ!」と叫ぶのです。

 

そこにはみんなの笑い声が響いていました。

 

 

一択のばあちゃん岩と風子さん ロックな二人を考察

出展:http://www.nhk.or.jp/
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ついに最終回。

第1話のギンギンに尖った花からは想像がつかないくらい、穏やかで笑顔に満ちた毎日を花は過ごしています。一択がいなければ、こんな穏やかな日常を花は過ごせていないでしょう。

本当に「よかった」と感じ、幸せな嬉し涙を流した最終回でした。

 

そして最終回らしく、ロックな二人のおばあちゃんズの言葉も深いものでした。

一択のばあちゃんはロック 名前も”岩”

kisekinohito_rock

一択を山形から厳しく追い出した おばあちゃん が、結婚した一択の前に現れました。因みにおばあちゃんの名前は”岩”だそうです。おばあちゃんは、ほんとに “ロック(rock)” だったんですね~!

一択に言ったセリフがドキリとしました。

「どうやって生きていったらいいか、そんなもんに答えはねえんだ。生きてくしかねんだ。人間は。あとは上等に生きるかどうかだ。わかっか?」

 

私達はすぐ「正しい答え」を先に求めて、そのとおりに実行しようとしてしまいます。特に私達日本人は「正しい生き方」と思われるものにがんじがらめになっているのかもしれません。そして今、昔は「正しい生き方」と思われていたものが否定され、常識が変わってきた世の中に私たちは生きています。「正しい答え」が見つからなくなっています。

 

「答えがなくとも生きていくしかない」

「悩むより生きろ」

 

おばあちゃんが言うことは、結局、 「答えがなくても生きてていい」ということです。

「どう生きるか?」

それこそが肝心なことだと、おばあちゃんは伝えたかったのかもしれません。

 

答えが出ず自信が持てない一択は、2話で「俺、ひょっとしたら生きてていいのかもしれない」と、おばあちゃんに電話で伝えていました。2話感想⇒NHK奇跡の人の住田萌乃は天才子役!?第2話あらすじと感想と考察

でも、おばあちゃんは最初から言っていたのです。

「一択、一度でいいから誰かの役に立つことをしろ! それ、めっけてこい。それができたら初めて生まれてきた意味がある。それ見っかんねば、そんときは・・・死ね!!」

一見強くて酷い言葉にも感じるこのセリフは、

「生きる意味を探してがんじがらめになるな。意味がなくても『どう生きるか』で意味が出てくる」

と言いかったのでしょう。

あのまま田舎にいたら、一択が淀んで腐ってしまうことを憂い、「生かす」ために行動させるように、一択を追い出したおばあちゃん。

ロックであり、愛にあふれた方だったんですね。

 

風子さんの旅立ち

出展:http://www.nhk.or.jp/
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海ちゃんが立ち止まることなく成長していく姿を見て、風子さんも旅立ちを決意しました。

この決断力と潔さ。その生き方がまさにロック!

 

そういう風子さんが好きな話として挙げた例は『ライ麦畑でつかまえて』。

「僕は畑で女の子たちが遊んでいるのを見てるんだ。

でもその畑の向こうには危ない崖があって、女の子たちがそっちに行かないように見張ってるんだ」

 

これって、風子さんそのものですよね?

都倉アパートメントのみんなを、手を出すことなく、優しく、じっと見守る風子さん。

「危ない崖」に行ってしまわないようにと、一択や花たちを迎え入れた風子さん。

 

そして海ちゃんが扉を開ける姿を見て、自分も新しい世界へと進む決意をした風子さん。

風子さんの旅立ちは颯爽としてかっこいいものでした。あんなふうに生きてみたい。そう思う姿でした。

 

それにしても、一択と花の婚姻届の証人欄に書かれた風子さんの生年月日から計算すると、 この時、風子さんは68歳くらい

その年齢であんなに軽やかに行動を起こせるなんて!

68歳より下の “若者” がヘコんで立ち止まってるヒマなんてないのかもしれませんね。

 

一択の交通事故の意味

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『奇跡の人』5話感想 NHK奇跡の人第5話感想と最終回予想で峯田の一択は死ぬ!? や 7話感想 NHK奇跡の人感動の第7話感想と【最終回への壮大な前フリ】で一択の交通事故を予測した当ブログですが、まさかこういう使われ方をするとは思いませんでした!

安直に盛り上げるために使うのではなく、海ちゃんの内面のコペルニクス的転回のきっかけになったのが、一択の交通事故(ひき逃げ)でした。

このことにより、海ちゃんは一択のいない日常を味わいます。

近くの人を触っては「一択ではない」ことを理解し、「一択は?」と探すように指を1本立てます。

何度もその動作を繰り返し、一択本人に出会えたときに嬉しくなってまた指を1本立てます。

そのときに唐突に理解したんでしょう。「指を1本立てるのは一択のことだ」と。

そして今までさせられてきた動作は、その「個」を表すことだと。

「名前」という概念がない世界に住む海ちゃんが「名前」の存在を理解した瞬間でした。

 

そして海ちゃんが「外の世界」への扉を開けることにより、 「(健常者が普通だと思っている)こちらの世界」が変化を始めたのです。

その変化の最たるものが、風子さんの旅立ち でした。

風子さんが旅立つことで、またこちらの世界に影響を与えます。どんな影響になるかは想像つきませんが、その影響は水面に波紋が広がるように、小さくても次から次へと世界に広がっていくのでしょう。

 

障害を持つ海ちゃんは一方的に何かをしてもらう存在ではありません。「してあげてる」つもりに錯覚してしまうこちら側の人間に、遥かに影響を与える存在でもあったのです。

海ちゃんが扉を開けたことによって、 「世界が新しく生まれた」とも言えます。なんて革命的なことでしょうか!

ドラマ『奇跡の人』は、障害を持った女の子が、ただ新しい扉を開けただけの物語では終わらなかったのです。

 

 

ドラマの小ネタ? どうでもいいようだけど気になったこと

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どうでもいいけど気になったことを一つ。

風子さんが読んでいた、「一択のひき逃げ事故」を報じる新聞についてです。

まず、婚姻届を提出するところで一時停止して見たところ、花の離婚の日付が2016年6月28日でした。そして婚姻届の提出日が綺麗に離婚半年後の2016年12月28日。つまり今年の年末。現在の私達から見ると未来のことですね!

海ちゃんが学校に通って2年経ったとドラマ内で言ってますから、ひき逃げ記事は2018年2月11日の新聞であると考えられます。

そこに書いてあるのが「建国記念日に初の首相談話」。

確か国民の祝日は「建国記念 日」で、 「建国記念日」ではないと、ごまかされていたはず。

私の記憶ではたしか、

建国記念の日建国を祝う日で『建国した日』というわけではない。その祝う日がたまたま神武天皇が即位した日だったんだよ~ん」

という苦しい言い訳だったと聞いてます。

クリスマスが「キリストの誕生を祝う日」で、けっして「イエス・キリストの誕生日ではない」というのと同じ理屈のようです。

 

そして、「首相談話」は閣議決定したメッセージで、閣議決定されてない と「首相 談話」として区別されるというのも聞きました。

 

この新聞記事は、神話時代の初代天皇である神武天皇が即位した日がついに「建国記念日」と定められて、首相は閣議決定で認められた公式の談話として何かメッセージを出したということでしょうか? 

うーん・・・右傾化?

2018年の未来に何があったんだろう・・・??

 

そんなことを考えて、ちょっとツボでした。

小ネタというか、こんな小道具を作る人って、反応が返ってくるのを期待してるんでしょうかね!?

 

実は画像が粗くてあまりよく見えなかったので、もしかしたら過去の新聞記事の再利用だったかもしれませんが、「建国記念日に初の首相談話」に釣られてみました(笑)

 

 

そして奇跡の人ロスが始まる

花8

最終回を見終わって、幸せな気分になりました。

とても嬉しい涙も流しました。

でも、来週はもう会えないと思うと寂しさがつのります。

 

バカな一択の純粋な力といつの間にか大きくなった存在感。

花のツンデレに海ちゃんの笑顔と考える時の唇ポンポンの動作。

実は根は真面目でいいやつの正志。

しなやかな風子さんに、ちょっと天然の佳代さん、できそうでちょっと抜けてるフクシくん、気づくとしっかり存在している八袋さんに癒し系の馬場ちゃん。

名前も存在もロックな一択のおばあちゃん岩。

 

みんなに、もう会えないんだなぁ・・・。

 

こんなに素敵なドラマを作ったNHKにはお礼をいいたいですが、できたら一日も早くNHK総合でも放送して欲しいと思います。

『奇跡の人』は、もっと多くの人に見て欲しいドラマです。

そして自分の中の心のジェットコースターも味わって欲しい。そんな数少ないドラマです。

できることなら続編にも会いたい。

終わったばかりというのに、もう、次の再開を望む気持ちが抑えられない私です。

 

まとめ : ただ今ロス発動中

これから先の海ちゃんが楽しそうに知識を吸収していく姿が、もう見られないのが残念です。

バカの一択の純粋なまでに信じられる強い心に会えなくなるのが、自分の心にポッカリ穴が空くような気持ちです。

『奇跡の人』第1話の感想で「最終回峯田ロスに備えよ!」と書いたのですが、最終回を迎え、このドラマの人々にもう会えないと思うと、とてもとても寂しいです。

彼らの日常は続いていくのに、もう、彼らには会えない。そう考えると寂しくて落ち着かない気分になります。ロスは峯田さんだけじゃなくなったようです。

 

できることなら何年か後の都倉アパートメントを舞台に、また脚本を書いて欲しいものです。もちろん登場人物は同じメンバーで。彼らの成長をまだまだ見たいです。

そうまで思わせるドラマに出会えたことに感謝しつつも、「続編がある」という希望が欲しい。そう思う私がいます。

最終回。次の日曜日はもう放送がありません。

さて・・・次の日曜日からどうやって過ごしましょうかね?

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