『奇跡の人』第2話の感想と考察です。

今回、一択は海ちゃんに「スープをスプーンで食べる幸せ」を教えるために格闘しました。
その行為は果たして正しかったのか? それとも余計なお世話だったのか?
また、海ちゃんにとって幸せなことなのか?
お母さんの花さんにとっては?
さらに一択にとっての「意味」は?

そういったことを考察してます。

 

また、下の方に、峯田和伸さん、宮本信子さん、山内圭哉さんの別番組出演予定も記載しておきますね。⇒『奇跡の人』出演者の別番組出演予定のお知らせ に ジャンプ

 

※【追記】

BSプレミアムドラマ『奇跡の人』が再放送されます。

再放送は、2016年 11月1日(火)から、

NHK BSプレミアムで、毎週火曜日 午後5:00~ (全8回)となっています。

(本放送は、2016年4月24日~6月12日 でした)

ぜひ、録画準備しちゃいましょう!

 

『奇跡の人』第2話あらすじ

出展:http://www.nhk.or.jp/drama-blog
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一択は花が勤務の日中の間、海ちゃんの面倒を見ることになりました。初めて他人に海を預けることになったお母さんの花は気が気でないようで、仕事中、進まない時計をチェックしているようです。

そんな花がいない間に、一択と海ちゃんの格闘が始まりました。

 

一択は「スプーンでスープを食べる」ことを教えようとしますが、海ちゃんにとっては何で押し付けられているかが分からず暴れます。

 

「海っ!」激しく暴れる海ちゃんを、一択はつい、叩いてしまいました。

「あっ、ごめん!」我に返った一択は、叩かれたことで更に激しく両手を振り回す海に、わざと叩かれるように顔を近づけました。一択の後悔がかいま見えます。

 

猛ダッシュで帰ってきた花に海ちゃんを託して、疲れてフラフラの一択は自分の仕事へ向かいます。
ほとんど寝る時間はない一択は、それでも毎日海ちゃんに向き合い格闘を続けます。

 

「スプーンを使ってスープを飲ませる」

 

それだけのことが、ここまで連日の格闘になるとは一択は考えてもみなかったのではないでしょうか。

でも、バカな一択のその格闘が、アパートの他の住人たちの意識も変えていっているようでした。

 

そしてついに、一択は海ちゃんの手でスプーンを使ってスープを飲ませました。

「やった!」

一瞬喜ぶ一択でしたが、「これは違う!」と暗い表情を見せます。

 

海ちゃんには全く笑顔がなかったのです。あれだけ暴れていた海ちゃんは、笑顔のないまま、そしてスプーンを持ったまま硬直してました。

「違うんだよ・・・」そう言ってヘタる一択の横で、表情のないまま固まっていた海ちゃんの手からスプーンが「カシャン」と音を立てて転がり落ちました。

一択は海ちゃんがスプーンでスープを飲んだとしても、「無理やりやらせて笑顔が出ないのは暴力と変わらない」とやるせない気持ちを持て余します。

 

一択は、どうやれば海ちゃんが「スプーンでスープを飲んでスマイルするか」、略して3S(スリーエス)について考えています。
「こんなにスプーンのことを考えたのは初めてだな。これは、海ちゃんのおかげだな」

一択は、改めてそう思いました。

 

そんなある日、アパートの中庭で住人同士のミニパーティで食事をすることになりました。
そこにはスープがあり、鍋の蓋を開けたところで海ちゃんがその匂いに反応しました。

「いただこうか」と花が海ちゃんに食事のときの前掛けを着せます。海ちゃんはそれが今から食事をする合図だと知っているのでしょう。何かを握るしぐさで空中に右手を伸ばし始めました。

 

「ん? どうした?」花には何をしているのか分かりません。

 

「一択」大家の都倉風子(宮本信子)にそう促されて、一択は海ちゃんにスプーンを握らせました。そしてスプーンを握った海ちゃんの手を握ってスープをすくい、そのまま海ちゃんの口に持って行きました。

海ちゃんは、今度は暴れることなく、スープを飲みました。
「ふん・・・んふふふ」海ちゃんが笑いました。
そして、もう、ひと口。
やはり海ちゃんは笑います。

「旨い? ・・・旨い?」顔をくしゃくしゃにして、そう海ちゃんに語りかける一択。

海ちゃんの笑顔を引き出せた一択は感極まり、青春映画のように走り出しました。
一択が手を離しても、残された海ちゃんはスプーンを握ったままで笑ってます。

一択は歓喜の雄叫びを上げ、田舎のおばあちゃんに電話を掛けました。

「ばあちゃん、ばあちゃん・・・俺さ、ひょっとしたら生きてていいのかもしれねぇよう・・・人の役に立てるかもしれねえよぉ俺」

人の役に立つことをしようとしている一択に、おばあちゃんは喜んでいながらもこう意見します。
「そうか・・・でも、気ぃつけろよ、一択。おめぇはバカなんだから。おめぇが役に立ってると思ってても、迷惑かけてるだけってこともあんだんぞ!」

その後、アパートに戻った一択は、その場の空気がなぜか重いことに戸惑いました。

「ありがとう」

花は、スプーンを握った海の手を一択に握らせ、硬い表情で、そう言い残して去りました。

「え・・・?」

喜びから一転、何が起こっているのか分からず、アパートの住人たちの方へ一択の困惑した視線が泳ぎます。

しかし花の去った後には、沈黙するアパートの住人と、海ちゃんの手を握ったまま硬直した一択が取り残されただけでした・・・。

 

奇跡の人第2話感想

出展:http://www.nhk.or.jp/
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関連記事⇒第1話 NHK奇跡の人の感想は春ドラマ一押し!最終回の峯田ロスに備えよ!?

本当に峯田和伸さんの体当たりの演技に引きこまれます!
気持ちが上がったり、落ち込んだり、一生懸命だったり・・・。
そして実は、内側では自分の存在価値が不安な部分を持っていた一択。
もう、なんていうか・・・ダメダメ一択が、めちゃくちゃキュートに見えてきました、私!

そんな一択に対する住田萌乃ちゃんの天才的演技!
表情を出さずに唸り声と体の動きで表現するなんて、大人でもできるの? 難しいでしょう!?

また、誰よりも海ちゃんを愛し守っているという母親の自負を、一択によって砕かれた花の複雑な心境を表す麻生久美子さんの表情も見物です。

そんな中で、今回、気になったことを考察します。

 

母 花 の心情

出展:http://www.nhk.or.jp/drama-blog
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花の心情については、麻生久美子さんが公式サイトで答えています。

一択がスプーンで食べることの楽しさを海に教えてくれました(第2話)。それを見た花は「あぁ、海は出来るんだ。だったらこれからも教えればもっといろいろなことが出来るようになるかもしれない」と喜んだし、感動したはずです・・・が、どうもそんな風には見えなかったですよね(笑)。
花は海の未来にそれほど大きな希望や夢は抱いていなかったと思うけど、スプーンを使う海を見て、将来に少し明るい光を感じたはずです。そのきっかけをつくってくれたのは一択ですが、どうしてもそのことに素直に感謝できないんですね。
誰よりも海を愛し、誰よりも海のことを知っているのは自分だと思っていたのに、もしかすると自分は一択ほど海の可能性を信じていなかったのかもしれない。でもやはり、母親の自分が海にスプーンの使い方、スプーンでものを食べる楽しさを教えたかった。そういう思いがあったので、素直に一択に感謝できなかったのだと思います。
母親としての情けなさや悔しさが、一択への怒りになったのでしょうね。ただただ海のことを考えて、一生懸命に頑張った一択には、どうして花が怒っているのか意味不明だったはずです。
花ってちょっとめんどうくさい女なんです(笑)。

母親の複雑な感情。
どうしようもないけど、一択に八つ当たりすれば、結局 花 が傷つくことになると思うので、上手くいって欲しいものですが・・・。

 

一択の隠された心うち 一択は自分に存在価値がないと思っていた?

第1話で、一択はおばあちゃんに「東京さ行け!」と、ぬるく生きてた田舎から追い出されました。
そのときに、おばあちゃんに言われたことがあります。

 

「一択、一度でいいから誰かの役に立つことをしろ! それ、めっけてこい。それができたら初めて生まれてきた意味がある。それ見っかんねば、そんときは・・・死ね!!」

 

この強烈な言葉に押されて東京に出てきた一択でしたが、特に何をするでもなく、バンドを作ると言いながらも具体的に行動したわけでもなく、流されたまま40手前まで生きてきました。

誰が見ても自分がダメダメ男なのは一択本人にも分かっていたのです。

 

そして多分、考えないようにして生きてきた『おばあちゃんの言葉』は、喉に刺さった骨のように忘れることができず、頭の隅にいつもあったのでしょう。

 

「役に立っていない自分は、この世界で生きることを許されていないのではないか?」

 

真剣に考えたことはないけど、漠然とそう考えてしまう・・・でもだからといって、その考えに正面から向かい合おうとはせず、流されて生きてきた一択。
そんな一択だから、「一般人から見ると、この世の中で役には立っていないけど生きている」海ちゃんが自分と重なったのだと思います。

 

一択にとって海ちゃんは、この世界の人々に否定されてはいけないのです。

海ちゃんが否定されることは、自分もこの世界で生きていてはいけないと言われているようなものでした。

一択は、海ちゃんが「堂々と生きることができる場所」を確保したかったのだと思います。
だから必死で海ちゃんと格闘しました。まずは「スプーンでスープを飲む」という行為を海ちゃんに理解させようとしました。

そしてついに海ちゃんは、自分からスプーンを求め、スプーンでスープを飲みました。

 

一択は、自分の「存在承認」を心のどこかで求めていました。
そして、ついに海ちゃんがスプーンでスープを飲んで笑ったことに、「自分も人の役に立ったのかも? この世界で生きることを許されたかも?」と感じたのではないかと思います。

そこで出てきたセリフが、

「ばあちゃん、ばあちゃん・・・俺さ、ひょっとしたら生きてていいのかもしれねぇよう・・・人の役に立てるかもしれねえよぉ俺」

 

 「生きてていいのかもしれない」

 

なんとも、やるせない言葉です・・・。

 

 

教会ウィンドウ

 

海ちゃんの感じている世界を天才子役住田萌乃はどう演じるか?

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一択は海ちゃんがこの世界で生きる場所を確保できるように、まずは「スプーンでスープを飲む」ことから始めようとしました。

しかし皮肉なことに、海ちゃんにとっては「自分の感じている世界」が全てで、頼んでもいないスプーンを「外の世界」から押し付けられるのは不快以外の何者でもありませんでした。
だから本気で嫌がって本気で一択と格闘しました。

 

海ちゃんは「見えない、聞こえない、しゃべれない」世界に住んでいます。海ちゃんが自分以外のものを認識するには、臭いをかいだり、触ったりして 感じよう としています。海ちゃんにとっては、それが当たり前の、普通のことなのです。その感覚の外の世界に「見える、聞こえる、話せる」人々が存在するなんて考えたこともありません。

そんな「外の世界では普通の人」がする自分への「存在承認」なんて、海ちゃんには関係ないのです。きっと現在の海ちゃんの側から見れば、不要なことなのでしょう。

 

では、一択のやっている「外の世界の押し付け」は、海ちゃんにとっては無駄なのでしょうか?
私はそうは思いません。

 

誰かに認められても認められなくても、海ちゃんにとっての「幸せ度」は変わりありません。
変わりがあるとすれば、お母さんである花さんの気持ち の方でしょう。

海ちゃんにとっての「外の世界の存在承認」は関係なくても、お母さんの花にとっては必要です。今現在、花にとって自分たちを取り巻く世界は敵にしか見えず、常に海ちゃんを守るために戦っている相手なのですから。

花にとって世界が敵でなくなれば、花にも心のゆとりが生まれるので、結果的に海ちゃんにとっても心地よい感覚が伝わるのではないかと思います。
ですから、一択の行為は、決して押し付けがましいことではないと思います。

 

そして、何度目かの格闘の末、スプーンでスープを飲んだ海ちゃんは、一瞬固まってスプーンを取り落としました。
一択は「スプーンでスープを飲んだけど笑顔がない。これはただ押し付けただけだ」と悩んでいましたが、私はこのとき海ちゃんの中で、 「ヘレン・ケラーの『水』」と同じ衝撃が走ったと感じました。

 

海ちゃんの生きる世界には、今まで「物」はあっても「道具」はなかったのです。
「道具」という認識もありませんでした。

 

スープはスプーンで食べるもの。
スプーンは「物」であり、スープを食べるとき使う「道具」である。

 

いきなりそう理解して、衝撃が走ったのだと思います。
自分の動作が固まるほどに。
いままで一択によって無理やり押し付けられていた「物」の意味を理解して、海ちゃんの中で大きく世界が変わっていったのです。

みんなとの食事会のとき、海ちゃんは自分からスプーンを求めるしぐさをします。
そして、スプーンでスープを飲んで笑いました。

「ほら! やっぱりそうだ。この『モノ』は、食べるときに使う『道具』なんだ!」

 

いつもは無表情な海ちゃんの笑顔は、自分のつかんだ「道具」という認識が正しかったことに、自分の知らない世界を知ったことに、純粋に知的好奇心が刺激されて心が踊っているのだと感じました。嬉しくて仕方がないのだと。

 

「道具」という言葉を知らないまま「道具」の意味を認識するって、無から有を生み出すくらいすごいことですよね?
目が見えない、耳も聞こえない、しゃべれない海ちゃんの閉じられた世界が、これから大きく動いていくように感じます。

 

出展:http://www.nhk.or.jp/drama-blog
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それにしても住田萌乃ちゃんは天才?

唸って暴れることでしか自分を表現できない海ちゃんの演技で、 「ヘレン・ケラーの『水』」にあたる衝撃を見事に演じていました。
この歳で末恐ろしいくらいです。

これから「外の世界」を知っていく海ちゃんを、住田萌乃ちゃんはどう演じていくのか? 楽しみです。
それと同時に、それに対する一択の喜怒哀楽を峯田和伸さんがどう演じていくか? 
ドキドキしながら興味が尽きません!

そしてまた、不安もあります。

 

「そうか・・・でも、気ぃつけろよ、一択。おめぇはバカなんだから。おめぇが役に立ってると思ってても、迷惑かけてるだけってこともあんだんぞ!」

 

という、おばあちゃんのセリフ。

 

このフラグが、今回の花に対するものだけだったら、まだいいのですが、後日、もっと大きなところで伏線回収されていくのでは?と邪推してしまいます。

 

今後、海ちゃんが外の世界を知ってきて喜びを多く得たとして、その先に「この世界で自分は生きることを許されているのだろうか?」とまで感じるようになったとしたら?

「『外の世界』を知ることは海ちゃんにとって幸せなことだったのだろうか?」

そう、一択が悩みだしはしないか・・・?

私はそんなことを考えてしまいました。。。

 

『奇跡の人』出演者の別番組出演予定のお知らせ

色々と興味の尽きない『奇跡の人』ですが、その出演者の方々が出る番組も知りたい!

そんな方に、現在分かっている情報をシェアしますね。

◆出演予定番組

☆テレビ

  • 「HEY!HEY!NEO!」峯田和伸
      放送 :フジテレビ系 5月6日(金)23:00~
  • 「土曜スタジオパーク」ゲスト 宮本信子
      放送 :NHK総合 5月7日(土)13:50~14:50

 

☆ラジオ

  • 「岡田惠和 今宵、ロックバーで~ドラマな人々の音楽談義~」山内圭哉
      放送  :NHK FM  5月7日(土)18:00~18:50
      再放送:NHKラジオ第一  5月17日(火)20:05~20:55

 

  • 「岡田惠和 今宵、ロックバーで~ドラマな人々の音楽談義~」峯田和伸
      再放送:NHKラジオ第一  5月10日(火)20:05~20:55

 

「もっと知りたい!」
そんなあなたは、ぜひチェックしてくださいね。

 

まとめ

2話を観ていて、バカで何も考えていないような一択が、実は自分の存在価値に不安を抱えていた ことが見て取れました。
だからこそ、上から目線で「障がいのある海ちゃん」を、海ちゃんの外の世界に 認めさせてあげる のではなく、海ちゃんのいる世界を知ることで一択が成長していくのかな?と思った回でした。

そんな一択を演じる峯田和伸さんに、どっぷりハマってきている自分を感じます。

なんでこんなにキュートに見えるんだよ、峯田和伸?
2週間前では考えられない現象だよ、全く!!
一択が傷つくと、こちらも心臓がキュッと痛くなりそうだよー!

・・・そんな自分に多少おののきを感じています。

 

また、子役の住田萌乃ちゃんが、こんなにもすごい人なんだと再認識した回でした。
子役、恐るべし・・・。侮るなかれ。

出展:http://www.nhk.or.jp/
出展:http://www.nhk.or.jp/

 

第3話、続きが気になりますね。

 

第3話⇒NHKドラマ奇跡の人第3話感想とゲス発言山内圭哉の本心をネタバレ考察

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